3〜4年後? / −、月璃
嵐が去った後も暫くの間彼はその場を動くことができなかった。
周囲の有様は酷いもので、沼の水やら折れた枝葉が散乱している。
(―――ええと……そうだ、荷物……)
のろのろと彼は立ち上がる。
何気なくぐるりと見渡した彼の目に、ふと見慣れぬ色彩が飛び込んできた。
傍まで近寄って拾い上げたそれは、金色の輝きを持つ果実だった。
そうだ、自分はこれを求めて此処まで来たのだと、漸く彼は当初の目的を思い出して苦笑する。
この果実を使って爺様にも負けない絵を描くのだと。
彼は大事そうにその果実を布にくるみ、その場を後にする。
彼の脳裏ではもう既に、描きたい絵は完成していた。
了。
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