現在 / [ガルス] 千鴉
「お前がそばに居てくれると、なんかほっとする」
久しぶりに会った相手は以前よりも幾分大人びていて、
そして僅かに憂いを帯びていた。
何があったかなんて聞きはしない。
自分はそんなことを知る必要はない。
向こうから話してくれる事以外は、無理に聞きたいとは思わなかった。
俺と居ると気持ちが楽になると、微笑ってそう言う。
相手にとって自分がそういう存在であることを嬉しく思う反面、
実際本人は決して楽になれる道など望んでいないことも知っている。
自分がどれ程傷つこうとも、これと決めた道を進む事を、決してやめはしない。
だから俺は止めない。
好きなように進んでゆくのを見守るだけ。
こいつを止める事が出来るのは俺じゃない。俺にそれだけの力は、無い。
ただ、こんな風にたまに会いに来ると、一寸立ち止まって微笑いかけてくれるから。
張り詰めている心を少しでも緩める事が出来たなら、
俺の、存在している意味はあるのだと。
会いに来て元気そうならすぐにでも帰るつもりだった。
だけど今回はあとしばらくの間……もう少しだけ、こちらに留まろうと思う。
ガルスに様子見に来た千鴉さん。
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