仙界/双竜 > 天人の沼 4
-- Update :2004-08-20 --
3〜4年後? / −、月璃
気配が動いたことで、彼は目を覚ます。
天人が身を起こすのが見えて、彼はほっと安堵した。相手が動けるようになったらしいことと、自分が寝ている隙に居なくなったりしていなかったことに対して。
寝起きのためか暫くぼーっとしていた天人は、やがて自分の腕やそこらに捲かれた布に気づいた。

「……これ、あんたがしてくれたの?」
「あ……うん、まあ。でも大丈夫!血には触んないようにしたからさ」
「ふーん……」

呟きつつ天人はおもむろに布を剥ぎ取ってゆく。

「あ、こら!ちょっと!まだ外さないほうが………あれ?」
「言ったろう?この程度ならすぐに治るってさ」

そこにあった筈の傷は跡形もなく消えていた。
不思議がる彼を見て、相手は不敵に笑みかける。

「―――さて、と。こんなとこでのんびりしてる場合じゃないや。僕もう行くね」

言うなり立ち上がりかけた天人を彼は慌てて引き止めようとしたが、次の瞬間その必要は無かったことを悟ることになる。
歩き出した天人は、ものの見事にすっ転んだ。

「………畜生、ちょっと血ぃ流しすぎた………」

微かに頬を赤らめて悔しがる相手を見て、彼は思わず噴き出してしまう。

(―――なんだ、天人っていってもおれ達とそう変わんないんじゃん)

その後思いっきり睨み付けられたのは言うまでも無いことだが。
続きます。
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