現在 / 月璃、夜煌
「久しぶり」
「……」
「もしかして忘れたとか?弟の顔」
「――そんな訳ないだろ。珍しいなと思って。お前が話しかけてくるの」
「そうだね。月璃と俺じゃなんか世界が違うっていうか」
「…なんだよそれ」
「姉さん達も言ってるよ、あの子は特別なんだってね。
腫れ物触るみたいに大事にされてさ。
今だって好き勝手自由にしてて、誰からも文句言われないし」
「僕は全然特別なんかじゃない。
誰からも期待も必要もされないで生きてるのがそんなに羨ましい?」
「……」
「ただ生かされてるだけじゃ、死んでるのと同じだよ。
家を出たのは此処に僕の居場所は無かったから。
無いなら自分で動いて見つけるしかないと思ったからさ」
「それで?見つかったの?居場所とか必要としてくれる誰かってのは」
「……どうかな。だけど僕のこと好きだって言ってくれる人たちは居る。
それだけでも其処に居る価値はある、と思う」
「ふうん……じゃあ、もう戻ってこないんだ?此処には」
「……先のことまでは判んないけど。何も出来なくなったらもう戻ってくるしかないしね」
里帰りしたときに弟と。
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