現在 / レンカ、シエル
夢を見て、目覚める時がある
目の前には底知れぬ闇が広がっていた
お前は誰だと問う声に、答える術を知らない
そんなこと俺の方こそ知りたい
気を抜けば簡単にその闇に飲み込まれてしまいそうで目が眩む
目が覚めると酷く汗をかいていた
普段目を背けていてもそれは澱の様にこびり付いていて、時折こんな風に思い出させようとする
俺はいつ消えてしまうのだろう
果たしてその時まで正気を保っていられるのだろうか
隣で眠っている相手の、髪に指を絡め頬に触れる
そうすることで少しだけ気分が落ち着いた
僅かな身じろぎの後閉じていた睫毛が微かに揺れる
起こしてしまったことに罪悪感を感じながらも、どこかほっとしている自分が居た
「―――レンカ……?」
自分の名を呼ぶその声に、俺は一体どれだけ救われたのだろう?
細い身体を抱き締めてその温もりに身をあずけることで、漸く安堵することができた
ああ、大丈夫だ
俺はまだ、此処に居る
日常に潜む不安。
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