5年前? / クローディア
目が覚めてすぐ、何も考えずに飛び出した
頭の中は混乱していて色んな感情がぐちゃぐちゃになっている
思い返されるのは絶望と混乱と恐怖と、こわいくらいの熱情
何が起こったのかわからない
どうして急に、彼の怒りは爆発したのか
*
戸惑いと不安と怯え
そんな感情が渦巻く状況はあの時と同じで、閉じ込めていた記憶が蘇る
知りたくなかった
失った目の光とともに、忘却の淵に追いやっていたかった
だけどあたしはちゃんと見ていた
あたしから両親を奪った男の顔を
身体が動かない。思考がちっとも纏まらない
何故。どうして?
同じ単語だけがぐるぐると、あたしの中を回っていた
*
わめいて暴れて、泣き疲れて眠りについたのは日暮れ頃
再び意識をとりもどした時には、抵抗する気は失せていた
もうどうにもならないことは理解している
逃げ出したところですぐに追いつかれる
そもそも行く場所なんて何処にもない
涸れるほど泣いたのに、まだ涙が出てくる
毛布で隠れていても、彼の怒りが伝わってくる
怒るべきは本来ならあたしの方だけど、
混乱を通り過ぎて残るのはただ、底の知れない絶望だけだった
*
彼の手が触れるたびに身体が固まる
その都度苛立ちが膨れ上がっていってるのが判る
でもだからといってどうすればいいの
憎しみだけならまだ理解ができるのに
なんであたしを傍に置いておくのか、その理由がわからない
初めは訳が分からなかったけど、きっと彼が鎖になったのは彼自身の意思だ
憎むべき相手に自ら囚われて、縛られて
それで一体何を求めているの
*
あの日以来初めて彼の目をまっすぐに見る
そこに映るのは苛立ちと憎しみ
だけどその奥に別の感情を見つけて目が離せなくなる
……どうしてあなたはそんなにあたしを求めるの
判らない、何もかも
彼の真意も、あたし自身の気持ちすらも
触れる唇はただ熱くて、
もう何も考えられない
赤月の儀、少し後。
いろいろあってパニクった。
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