リヴァイレッド/聖職者 > 砂の城 
-- Update :2003-06-16 --
5年前 / リュカ
後にも先にも、「他人」で俺があれほどに打ち解けたのはあいつしか居なかった

思えば大層変わった奴で、いつも振り回されていて

だけど不思議と悪い気はしなかった

馬鹿な事を言って巫山戯た事しかしなくって

それでも毎日が満たされていた

幼い故に、永遠に続くと思われていた時間

それを壊したのは俺自身の裏切りだった

あの瞬間のあいつの顔を、俺はきっと死ぬまで忘れない

笑いあった事の方がずっとずっと多かった筈なのに

今でも鮮明に残っているのはあの時のあいつの驚愕の表情

責める風でも諦める風でもなく、ただ、驚いて俺を見ていた


きっとあの時から、俺の中身は無味乾燥なものになっていたんだろう

さらさらと音も立てずに端から崩れてゆく、まるでそれは砂の城

しばらくは部屋の中に閉じ篭っていた

自分のした罪の大きさに耐えられなくて

どれくらいの時間そうしていたのか判らない

ただ、彼女だけは飽きもせず呆れもせずに毎日俺の許にやってきた

ある時ふと質問を投げかけてみる

俺の罪は赦されることはあるのだろうか、と

答えは聞かずとも分かっている

誰が赦しても、例えあいつが赦してくれたとしても

俺自身はきっと赦せないだろう

彼女は暫く考えて、口を開く


 赦すとか赦さないとか、よく判らないけど

 あなたがどんな風になっちゃったとしても

 変わらず、ずっと傍に居るよ

 あなたは私のたった一人の弟なんだから

 それじゃ、だめ?


幼い言葉で、つたない言葉で、それでも真摯に応えてくれた

嘘偽りの無い心で

ずっと傍に居るなんて無理だろう そんなことはその時の俺にでも判った

だけど、例え傍に居られないとしても

恋人でも友達でもなくて、ただ、姉と弟というそれだけの繋がり

それは一生消える事は無いんだよ

そう笑顔で言ってのける彼女の言葉に

どれだけ救われたか判らない


脆く、崩れてゆくだけの砂の城は

水分を得てカタチを取り戻した

彼女が笑顔でいてくれるなら、離れていても何処かで幸せでいてくれるなら

俺は俺で居られるだろう


そう、思っていた


彼女の笑顔は、今はとても痛くて

砂はまた、崩れ出している
キャライメージ的な
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