現在 / キリエ、月璃
『人間の住処に近寄っちゃあいけないよ
あれは浅はかで傲慢な生き物だ
連中にとってわたしたちは珍しいから
捕まって見世物にされちまう
そうなると戻ってこれる者なんて居やしない
昔から多くの同胞達が奴等に連れてかれちまってる
いいかいキリエ
決して人間たちには近づくんじゃないよ』
ずっと、ずうっと前におばあちゃまに言われたことを思い出した。
その時はとても恐ろしかったけれど
今まで居た場所の人たちはみんなちっとも怖くなかったから
そんなこと、すっかり忘れてしまっていた。
鎖で繋がれて、きれいだけど窮屈な服を着せられて
眩しすぎるほど光を当てられて、頭ががんがんする。
色んな人がじろじろと見ている。
時々手を伸ばしてくる人もいて
びっくりして逃げると、何が楽しいのか皆笑っている。
何を考えているのか分からなくて、とても怖い。
人はたくさんいるのに、あたしは独りぼっちで
どうすればいいのかわからない。
あたしは一体どうなっちゃうんだろう?
続きます。
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