パラレル > キャラマ名作劇場「シンデレラ」前編 その2
-- Update :2001-10-27 --
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そんなある日、下の姉が嬉々として屋敷に戻ってきました。
「ねーねー聞いてよースッゴイニュース!今度お城でパーティーやるんだって!
 それもなんと!王子様の花嫁選びって噂なのよう〜」
その知らせを聞き、みんな色めきだちました。勿論シンデレラもこっそり聞き耳を立てていました。
「フム。それは当然出席せねばなるまいな」
「当たり前よう〜。なんたって王子様よオウジサマ!……もし仮に王子がヘボい男でも王家ってくらいだから素敵な宝石がたーんとあるのよきっと……!」
「俺は王子とやらには興味がないが。ん〜そうだな、一国を動かせる立場というのには非常に惹かれるな」
「無論行くべきだ。王室にはきっと貴重文献が山と眠っていることだろう……ふふふ」
みんな素敵なドリームをふくらませています。
シンデレラもおずおずと聞いてみました。
「……あ、あのぅ……。私も行っては……ダメですか……?」
その途端、継母と姉たちの冷たい視線が突き刺さりました。
「バカを言ってはいけないな。そんなみすぼらしい姿のあんたが行けるとでも思っているのか?ダメだぞ、無理しては」
「そうよー。大体シーちゃんドレス一着も持って無いじゃないの。あ、そうだお母様、私のドレス新調してねン」
「う、うむ分かった……。ゴホン。それにだな、まだ屋敷の中は綺麗になっていないではないか」
そう言って継母は棚をつつーと指でなぞりました。
「見ろ!この汚れを!一体どこを掃除してたというのだ!」
そしてまたムチがピシリと飛んできました。
「アアッ……!」
シンデレラは、楽しそうに支度をする彼女たちの傍らで、泣く泣くパーティーを諦めたのでした。

日もとっぷりと暮れ、そろそろパーティーが始まる時間です。
掃除もとりあえず終わらせたシンデレラは、屋根裏の自室に戻ってシクシクと泣いていました。
窓の向こうにはいつものようにお城が見えます。
けれど今日は、なんだか一段と華やかでキラキラと輝いて見えました。
その楽しそうな場所に自分が行けないことが悲しくて、シンデレラはまたもや涙をこぼすのでした。
お陰でお城のまばゆい明かりもぼやけてしまっています。

「ああ、一体どうしたのです!こんなところで一人で泣いて」
突然背後から声がかかり、シンデレラはびっくりして振り向きました。
そこには銀髪でナイスバディーのきれいなお姉さんが立っていたのです。
「だ、誰……?」
「私?私は魔法使いなのですよ!シェリーって呼んでくださいね」
魔法使いシェリーはにっこりと笑っています。
シンデレラはびっくりして目をぱちくりしました。
「……魔法使い、さん?どうしてここへ……」
「今夜は天気も良くて月も綺麗なので、夜の空中散歩を楽しんでいたのですよ。
 この屋敷の前を通りかかると、あなたがしくしく泣いているのが見えたのです。
 お城ではパーティーが開かれているというのに、あなたは一体何がそんなに悲しいのです?」
パーティーと聞いて、シンデレラはまた悲しくなってしまいました。
「私……パーティーには行けないのです……」
「ああっ!泣かないで……!」
はたはたと涙を落とすシンデレラを、魔法使いシェリーはヒシッと抱きしめてくれました。
シェリーからはなんだかホンワリいい匂いがしました。
「ここで会ったのも何かの縁。私がパーティーに行かせて差し上げますねっ」
「でも……今からじゃとても間に合わないのです……」
時計を見ると、パーティーが始まる時間が迫っていました。
お城までは結構な距離があるのです。
「ふふっ。私に任せて下さい」
魔法使いシェリーはそう言うと、シンデレラにケモノを2、3匹捕まえて裏の畑に来るように指示しました。

シンデレラはまず、厨房に行きました。
ここの冷蔵庫には何故だか動く雪ウサギが棲んでいたのです。
「ああ、やっとでられたのよ」
外に出してやると、ウサギは嬉しそうにピオンピオンと跳ねています。
そして次に裏口に回りました。
そこにはシンデレラがいつも餌をあげている小さな仔ネコがいました。
シンデレラはネコに事情を説明しました。
不思議なことにこのネコは人の言葉が判るようなのです。
「ニャン!」
ネコはいつものエサのお礼か、シンデレラの手助けをすることを快く引き受けてくれました。

2匹の小動物を連れて畑に行くと、魔法使いシェリーがそこにいて、大きなカボチャを一つ持っていました。
「?……それをどうするのです?」
「へへー素敵なことが起こるのですよ!みててくださいね。シェリリンプイ!」
魔法使いシェリーがそう言って魔法の杖を振ると、なんとカボチャが素敵な馬車に変わったのです。
「次は馬ですね。ケモノは連れてきてくださいました?」
「あ、ハイ……ココに……」
「ボク、おやくにたつのよ〜」「ウニャー」
小さな2匹は勢いよく飛び出してきました。
「あら、なんだか頼りないですねえ……。まあいいか。シェリリンプイ!」
魔法をかけると、2匹は立派なカンガルーとチーターに変身しました。
「素敵です、シェリー……!これでお城にもひとっ飛びなのです! ……でも……」
シンデレラは自分のみすぼらしい格好を見てまたもや悲しくなりました。
「……こんな格好ではお城に入れないのです……。ドレスもみんな売られちゃいましたし……」
「それもノープロブレムなのですよ。シェリリンプイ!」
シェリーの魔法は、シンデレラをとても美しいお姫様に変わらせたのです。
今まで着たこともないような素敵なドレス、髪は綺麗にとかされ、赤いリボンがつけられていました。
そして、きらきらと透き通るガラスの靴までも……。
「アアー……予想以上ですよ!とってもカワユイです〜」
魔法使いシェリーはシンデレラをヒシと抱きしめました。
シンデレラも嬉しくて、シェリーにピトンてしちゃいました。
「はやくいくのよ、はじまっちゃうのよ」「ニャ!」
2匹がいそげいそげと急かします。
「そうだ、忘れるところでした!12時を過ぎるとその魔法は解けてしまうので、それまでには帰ってくるのですよ?
 それから……これは私からのプレゼントです」
シェリーはシンデレラに香水を渡しました。
それをつけると、とっても甘くて良い香りがしました。
「ありがとう、シェリー……。私、とっても幸せなのです……」
「幸せになるのはこれからですよ。これで王子様のハートをゲットするのです。がんばって下さいね」
そう言って魔法使いシェリーは背中の黒い羽を広げて空高く飛んでゆきました。
「それじゃあ、れっつごうなのよ〜!」「ニャゴーン!」
シンデレラを乗せた馬車は勢いよく走り出しました。
やたらとスピードが速くてピオンピオン飛び跳ねるので乗り心地はあまり良くありませんでしたが、シンデレラは幸せな気持ちでいっぱいなのでした。

さあ、素敵なパーティーの時間です。
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