パラレル > Little bird in Crimson cage 
-- Update :2002-06-12 --
 / (レンカ、シエル)
小さな白い鳥が、小道の端でか弱く鳴いていました。
鳥は傷つき、空を自由に飛ぶことができません。
小さな傷ついた鳥にとって世界はとても広く、心細くて仕方がありませんでした。

誰も気付かないほどのか細い声。
その鳴き声にたった一人だけ、気付いた少年がいました。
少年は小さな鳥を傷つけないようそっと両手で包み込み、家に連れて帰りました。

小さな白い鳥は少年の部屋で、赤い籠の中に入れられました。
鳥はとても幸せでした。
少年が小さな鳥に笑いかけてくれるのが、とても嬉しかったのです。

鳥がその綺麗な声で鳴くと、少年もまたとても幸せそうでした。
だから小さな白い鳥は毎日、歌い続けました。
ありったけの心を込めて、少年のために歌い続けました。

ある日少年が籠の入り口を開けてこう言いました。
「ここから出て、自由におなり」
小さな白い鳥の傷ついた翼は、もうすっかり治っていました。

「お前には、自由に空を飛べる白い翼がある。
 ……こんな赤い鎖に縛られていることなんて、もう無いんだよ」
その言葉を残し、少年は姿を消しました。

開け放たれた赤い籠。
だけど小さな白い鳥は飛び立とうとはしませんでした。
この、赤い籠の中以上に幸せな場所を知らなかったのです。

小さな白い鳥は、ただずっと少年を待ち続けていました。
赤い籠の中で、いつまでもいつまでも。
二度と、その綺麗な声で鳴くことも無いままに―――。
少年と小鳥のお話。
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