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-- Update :2008-10-20 --
[アルビオン] 過去〜現在 / ネコ、祇王
おれさまは猫である。名前はまだ無い。

祇王っていう小僧が一応おれの相棒ってことになってる。
何も別に好きこのんでひっついてるんじゃないことは言っておくぜ。そういう運命ってやつだから仕方が無い。
あいつが生まれたときからだから、かれこれもう15年ばかり一緒だ。おれの年齢もまあそのくらいで猫としちゃもう長老の域に入るんだが、見た目はまだピチピチのヤングキャットってやつだ。おっと難しいことは聞くなよ?なんせおれには猫の脳みそしか無え。

15年も一緒に居てまだ名前が無いのかとか言われそうだがそんなことは祇王のやつに言ってくれ。
ま、無くても別に不便は無いし、今更つけられて呼ばれたところでなんだか気味が悪いだけだから気にしちゃいねえ。好きなように呼んでくれて構わねえってことよ。ネコチャンとかニャンコとかってえのがよく呼ばれる名前だな…おれとしちゃもう少しクールなのがいいんだが、まあ、贅沢は言わねえさ。

そういえば祇王のやつも、今呼ばれてる名前は生まれたときにつけられたものじゃあない。本名は……なんだったっけな、まあいいか。
まだチビのガキんときに親元離れてどっか別のとこに行ってたな。一人立ちかと思ったがどうも違ったみたいだ。人間のガキはもうちょっと長く親元居るようだしな。おれなんて生後3ヶ月で親離れしたっていうのによ。
おっと話が逸れちまったぜ。そんなわけでその時くらいから奴の名前は無くなった。なんか別の呼び方されてたみたいだがよく覚えてねぇ。
いやしかし、そん時の住処はサイアクだったな。なんか変なキカイと繋がって…何が楽しいんだろうな、あれ。
しかも奴だけならともかく、よりによってこのおれにまでよってたかってキカイに繋げようとしやがるんだあいつら。無論思いっきりひっかいてやったけどな。おれさまの爪は凶暴なんだぜ…?

あんなくだらねえところとっととオサラバしちまえばいいとおれは常々思っていたんだが、祇王のやつが実際に行動に出たのはそれから6年も経ってからだ。何ぐずぐずしてやがったんだろうな。
やっと晴れて自由の身だと思ってたんだが、祇王のやつときたらエサの取り方すらしらねえときやがった。まったく飼いなさられた奴はこれだから。ワイルドさが足りねえんだよな。
おれ一人ならまだ生き延びることもできたんだが、どうも奴の具合が悪くなるとおれにまで影響しちまう。不便きわまりないがどうしようもねえ。一人と一匹、危うく野垂れ死にしそうになっちまってたぜ…。

なんとか生き延びることができたのは、別の飼い主に拾われたからだ。何つったっけなあいつ…たしか半蔵とか言ってたか?ひょろっと長くてへらへらいつも笑ってる変な奴だった。まあ随分と居心地はよかったけどな。
祇王のやつが「祇王」って名前になったのはそいつと居るようになってからだ。ついでにおれの名前もつけてくれればよかったんだが…今更細かいことはいいさ。おれはクールだからな。
そいつと一緒に居たときのことは色々覚えてる。あの変なキカイの場所とかはほとんど覚えてねえのにな…不思議なもんだ。

祇王のやつもやっと一人で生き抜く方法を覚えて、半蔵と別れたのが一年くらい前か。
腹が減って死に掛けたこともあるんだが、まあどうにかこうにかやれてたな。
フォレスタって国に暫く居て、そこでは妙に知り合いが増えた気がする。よく覚えてるのが、青い髪のちびっこい女。ミキって言ってたか。何故か妙におれに構いまくるんだ。おれもついつい猫の習性でゴロゴロ喉鳴らしちまったりして…おっと、決してエサにつられたわけじゃあないぜ?
しかしミキって女はちびっこかったが、さらにちびっこい女が居たもんだからおどろきだ。しかも同じような青い髪で、同じようにちょんまげしてやがる。最初見分けがつかなかったぜ…。どうやらこの二人、よく知ってる仲だったらしいがな。周りの人間は見分けがついてるのか?

フォレスタを離れる少し前くらいから、祇王の野郎他の連中とつるむようになってったな。今では大抵その連中と一緒に居る。
一人と一匹暮らしのときも気楽でよかったんだが、この連中と一緒に居るとエサにありつけないってことはまず無くなった。エサの心配しなくていいってえのは全く幸せなことだよな。
今までに比べて騒がしいってのはあるんだが、連中おれがすりよったり顔を舐めたりぐるぐる喉鳴らしたりすれば喜んでエサをくれる。ちょろいもんよ。
そういうときは大抵祇王のやつはおれを冷たい目で見てたりしやがるんだが、自分ができねえからってひがむんじゃねえ。
ワイルドさが損なわれちまうっていう心配はちったああるんだが…ま、クールなおれはそんな些細なことは気にしやしねえさ。クールだからな。

この先どんくらい生きるのかは知らねえが、他人との繋がりは大事にするに越したことはねえと、そういったことを学んだわけよ。
祇王のやつはそういうニンゲンカンケイってのにもまだ完全には慣れちゃいねえようで、いまだにテンパったりすることもあるみたいだけどな。ボウヤだから仕方がねえ。
奴とは多分死ぬまで離れることはできねえんだろうから、長い目で見てやろうとクールで大人なおれは思うわけよ。
それにこいつの髪の感触ってのは、中々に心地がいいんだ。内緒だけどな。
ネコから見た祇王の半生。
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