杏朔
毎日の日課のひとつとして、朝夕の散歩は欠かせぬ。
年のせいか、昔よりもずいぶんと早起きになってしまったがの。
朝もやが消えぬうちにゆっくりと歩き回るのは、また風情があるものじゃ。
妾のように早起きの者もたまには居るが、しんと静まり返った世界は思考を深めるのに丁度良い。
途中休憩などをはさみながら一回りしているうちに、日も出て明るくなり人もぼちぼち起きだしてくる。
一日の始まりという心地になり、なかなかに清々しい。
あれやこれやの務めが一息つき、気分転換に夕暮れ時にもひと歩きする。
朝とは違い、夕餉の支度や買い物などで、多くの人々とすれ違う。
時間のありそうな相手とはしばし世間話に花を咲かせたりもする。
皆、健やかに暮らしておるか、変わった事など無いか。
そういったことをそれとなく把握しておくのも、宮主としての大事な務めなのじゃ。