ハイドライド家五男坊、普段家の外では露天商のアルバイトをしています。 雇い主はとある富豪の道楽息子。
この彼は海外に旅行するのが趣味で、 色んなところに出かけてはそこで様々なものを買い込んできます。 値打ちモノの高価な美術品からいわくありげの怪しげなアイテムまで そらもー様々。 そんなものを大量に集めているので、 そのうち倉にも納まり切らなくなり処分することに。 適当に露店をだしてそれらの品々を並べて売りに出します。 価値あるものもがらくたもごっちゃにして。 さて、店を出したはいいが何しろ彼は忙しい身の道楽息子。 ずっと店にいる訳にもいきません。 どうしたものかと思っていると、 なにやらちょっと興味ありげにそれらの品々を見ている少年が居ます。 見た目はそんなに裕福という雰囲気ではありません。 商品を買うには金が無いが、ただ興味があるといった目をして。 そこで何やらピンときた道楽息子、その少年にこうもちかけます。 「ここでアルバイトしてみないか?」
さて、ハイドライド家五男坊、 大家族にもまれて育ったおかげでそこまで世間知らずではありません。 見るからに怪しげな風貌の男。胡散臭げな品の数々。 そんなでさすがに最初は警戒していたものの、 話を聞くうちに次第に乗り気になってきました。 男は見かけこそ怪しいものの どうやら何か企んでいるアクドイ輩…という雰囲気ではありません。 それに何より、胡散臭くて何か心惹かれる、並べられた数々の商品。 でも自分は商売のシの字も知らない―――そう言うと、 「ああ、いいからいいから。値段なんて適当で。処分できればそれで充分。 ……バイト代も弾むよ?」にっこり笑ってそう返す男。 ………まあ、何もする事が無くて暇を持て余していたし、 多少なりともわが家の家計の足しになるなら……そう思って、そのバイト話を受けたのが二年前、13歳の時の事。
意外にも、最初予想していたよりも売上の方は順調でした。 男の見る目は確かだったようで、 がらくたにしか思えなかったものも驚くほどの高額で売れたり。 見るからに裕福そうなおじさんが、無造作に置かれたがらくたを見てほほうと唸って、大金と引き換えに買い込んでいくこともそう珍しいことではなく。 その他にも怪しげないわくつきっぽいものはその筋の怪しげな輩に、綺麗な装飾品は年頃の娘さんたちに、それなりに好評で売れ行きも上々。 とは言っても全く一つも売れない日もあるにはあったのだけれど。 そして道楽息子はその間にもちょくちょく旅行に行き、 またがらくた類を集めてくる始末。
そんな感じでやっているうちに多少商売のコツも掴んできました。 モノを見る目もそれなりに養われてきたようです。 基本的に座って店番しているだけのアルバイトは、 好奇心旺盛な年頃の少年には退屈で。 ある時店番しながらイタヅラ心を起こして、 全く売れない商品に見よう見真似でちょっとした装飾細工を施してみました。 そしたらコレが思いの他に大当たり。 今まで気付かなかったけれど、 どうやら五男坊は手先の器用さとセンスは一級品だった模様。
そしてそれに気付いた雇い主は、 空いた時間をみつけて彼に基本的な技術を教えこみます。 この道楽息子、興味のあるありとあらゆる方面に手を出しているので(アッサリやめるけど)色んなことに明るいです。 プロ級とまではいかないものの、ちょっとした趣味程度のことなら何でもござれ。 そしたら少年、めきめきと腕を伸ばして あっという間に彼の技術を追い越してしまいました。 面白く感じた雇い主は、知り合いの装飾工芸マイスターに頼んで 時々彼を見てもらうことに。
今では店番しながら細工物を作る毎日。 本来の商品の片隅にちょっとした自分のスペースも貰って、そこに出来た装飾品を並べてみたり。売れ行きはなかなか順調だとか。 時々マイスターさん(彼は師匠と呼んでいます)のところにお邪魔して指導を仰ぐことも欠かさず。
ちなみに、家族には「露天商のバイトをしてる」とは言ってあるけど自分が装飾品作ってるってことは言ってないようです。
話変わって彼が店番してるところの近くには割と高級な住宅街があります。(彼の雇い主も此処に住んでいます) 店の位置からも立ち並ぶ立派なお屋敷は見えるのだけど。 雇い主の家に行ったりもするのでよくソコに行くのですが、 なんとなく彼には苦手な雰囲気です。 自分には場違いな気がして、いっつも足早に通り抜けるのだけど。 最近、そこで時々見かける同じ年くらいの女の子が、 ちょっと気になっている思春期15歳。
あ。ちなみに雇い主サンは20代~30代前半くらいです。