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くにに居た頃は表情・口調共に乏しかったです。 与えられた仕事をこなせばいいだけの、まさにお人形さん。 家事なんかも当然したことない。箱入り娘。お嬢様ちっく。
事件を契機に、彼女は一枚脱皮しました。 犯した罪はぬぐえないけれど、生きている以上は精一杯生き抜こう、と。 弟のことは無論気がかりで心配で胸が押し潰されそうになるのですが、傍に行って様子を見ることもできない。 彼は彼の進むべき道を見つけて、元気でいてくれたら。 そう、祈るだけです。今はそれしか彼女にはできません。
箱入りでお嬢ですが、それに加えて彼女は結構キレイ好きで几帳面で若干神経質だったりします。 拾われて暫くは混乱してたけれど、ちょっとして落ち着いて辺りを見回してみると色んな事が気になった。 まず、人の住むような場所じゃないだろうと。 キレイ好きな彼女は屋敷の主人に許可を貰って、家の中を掃除し始めます。 最初は過去のことを吹っ切るためってのもあったのかもしれない。 お掃除とか、料理を作ってみたりとか、洗濯したりとか他色々。 全くやったことないので初めは知ってる知識をフル回転させます。 それでも分からないことがイッパイなので、隣にいるひとに「これはどうするのでしょう?」って聞いてみることもしょっちゅう。 なんでこんな基本的なことも知らないんだって思われたかも。
初めのうちは当然の如く失敗の連続。 物を壊しちゃったりとか火傷したり怪我したりとかすっ転んだりとか。 でも物覚えと要領は非常によろしいので、次第に上手にこなせるようになりました。 やってるうちに家事もだんだん楽しくなってきたり。 作った料理を美味しいって言われた時とか、部屋がきれいに片付いた時とか、洗濯物を干し終えた時の充実感とか。 そんな些細な事で幸せを感じられる人です、この人。
表情もわりかしくるくる変わります。 よく笑うしよく怒るしよく拗ねるしよく落ち込む。 以前の「お人形さん」時と比べたらもうほぼ別人。 外に出ることで、人と接する事で、少しずつ人間に近づいてきました。