広義には吸血鬼と呼ばれる、人の生き血を主食とする種族。 人間の数倍から十数倍の身体能力を持ち、他者の精神に作用する魅了などの能力を得意とする。 寿命は人間よりも長く、幼少期はおよそ人の三倍から五倍の時間をかけて成長する。成人の儀を終えた後は成長を止める。 獲物となった人間は吸血されても同族になることはないが、前後の記憶を失い場合によっては廃人になったり死に至ることもある。
特定の人間を、彼らの保存食ともいえる≪赤の鎖≫とすることで、ガヴァネラは不特定の獲物を狩る必要が無くなる。 鎖の血はそれ以外の人間の血よりも格段に美味であり、摂取量も僅かで満足感を得られる。 鎖となった人間は、吸血時ある種の恍惚を覚える。摂取される量も少ないため貧血になる程度ですみ、記憶を失うことも無い。 ただし元々持っていた力は吸い取られ、日常生活に支障が無い程度の能力以外無力化してしまう。 成長も止まり、主から手を下されるか主の死亡以外で命を落とすことは無い。 ガヴァネラが得る赤の鎖は一人で十分事足りるが、中には複数の鎖を持つ者もある。 ガヴァネラもその鎖も、死しても肉体は残る。ただしあまりにも長い間鎖となっていた人間は、死と同時に灰になるという事例もある。
ガヴァネラが人間を鎖とすることを≪赤月の儀≫と呼ぶ。 鎖の抵抗を防ぐため、儀と同時にその精神は主の支配下に置かれる場合が多い。 ガヴァネラは赤の鎖を得ることで一人前の成人とみなされ、これがこの一族では成人の儀とされている。 赤月の儀は、新月の夜から三夜続けて目的の人間の生き血を摂ることで成立する。 ただしこの時の摂取量は、相手が意識を失わない程度に留めておかなければならない。
ガヴァネラの生態は月に大きく影響を受ける。 常人よりも遥かに高い身体能力を持つが、それは月の出ている夜間のみ。日中は人間と大差が無い。 朝日が昇る時間帯は完全に無力化する。多くの場合は眠りに落ちているが、起きていても立って歩くこともままならないほど。 月の満ち欠けにも様々なことが作影響している。 満月時が最も良好な状態で、身体能力が最も優れているのもこの時期。逆に新月時には低下する。 ただし魅了などの精神作用能力は、月の満ち欠けにはあまり影響されない。 吸血行為によって、月の満ち欠けによる変動は緩和される。定期的に生き血を摂取していれば月による影響はあまり見られない。 常に血を摂取しなくてはならないことはないが、しばらく吸血していないと月に一度、新月の時に激しい飢餓状態に陥る。
月による変動を最低限に抑えるだけの捕食は、7日から10日に一人。つまり一月に3、4人。 空腹感も酷くはないため、対象の吸血量も後遺症が残らない程度に抑えることができる。対象に与える影響は前後の記憶の喪失、数時間の間起き上がることができない程度の貧血状態。 20日以上捕食を絶った状態で次の新月を迎えた時、ガヴァネラは激しい飢餓に陥り理性を失う。見境なく人間を襲い対象の血を貪るため、獲物は失血死、運が良く生き長らえても廃人になる可能性が高い。